「島根プレスツアー 菅谷たたら 高殿」

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この写真って何かわかりますかー!

これは鉄を作るための炉に風を送り込むための「ふいご」です。
実に土っぽくて人がここで行っていた鉄を作る営みを感じます。
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数年かけて改修を行っていた菅谷たたらのたたら場へ見学です。

菅谷のある地区は谷のようになっていて、風がとても強いんです。
だから当たり前だけど、さむーい!
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たたら製鉄は日本の生活を支える鉄づくり。
中国地方はたたら製鉄が盛んでした。
旧吉田村(島根県雲南市)の田部長右衛門(たなべ ちょうえもん)は今でも日本の山林王で、
黄金期は25,000ヘクタールというとてつもない山を所有していました。
製鉄には大量の炭が必要だったことから、田部家はその山の木を炭にしてたたらで繁栄しました。
特に炭は輸送するのにかさばることから、近くに山があることが必須でした。
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それ以外にも島根県には4つの家があり、松江藩の五鉄師と呼ばれていました。
田部家(たなべ・雲南市吉田町)、絲原家(いとはら・奥出雲町)、桜井家(さくらい・奥出雲町)、卜蔵家(ぼくら・奥出雲町)、杠家(ゆずりは・奥出雲町)です。

この菅谷エリアにはたたらに関連する人が住みつき、それぞれの役割を世襲で行っていました。
技術は口承で受け継がれていました。
砂鉄を取ってくる人、炭を焼く人、加工する大鍛冶、鋳物造りの鋳物師(いもじ)など、いわゆる技術者集団がひとつのチームとなって、現場の近くに住みついていたことになります。
村下(むらげ)と呼ばれる技師長が仕切り、炭や砂鉄を炉に投入するタイミングを指示します。
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良質な砂鉄(純度が高い)が沢山取れる事もまたたたらの繁栄につながりました。
砂鉄は山を堀り、人工的に作った水路を通しながら取り出します。
軽い砂は流れて行って重たい砂鉄だけが残ります。
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しかし当時はその砂を下流で受けてしまう農民との争いも絶えませんでした。
また砂が川に溜まって水かさが増し、洪水なども起こっていました。
よって冬の農閑期にのみたたら製鉄をすることとし、農民もそれを手伝いました。
当時の藩は農地改革も行い、さらには木々の伐採も計画的に行っていたことから
山の荒廃も起こることなく経営の安定を図っていました。
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炉の中に砂鉄と炭を入れ、作業は三日三晩。
使われる50数種類とも言われる木・竹・鉄を使った道具は手作りです。
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炉からは約2トンの鉄の塊が取り出され、その後炉は壊されます。
どうやら再利用できないらしいのです…。
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毎回真砂土(まさつち)と粘土を使ってこの炉を作り固めていたようです。
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さらに炉の下の地中にはもんのすごい正確な技術が必要な幾重にもなる層があったようです。
こちらは奥出雲町のたたらと刀剣館で展示されています!
これがなくっちゃ鉄が出来なかったんですね。
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鉄の神様は女性だったってことで、この作業は全て男性で行われていました(もちろん重労働だし)。
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たたらを吹き始める前にはきちんとお清めをします。
神聖な場所であると同時にすごく人間くさい感じもあり、また自然の産物でもある、不思議な場所です。
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ここで生まれる鉄の塊は、金の母と書いて「鉧(けら)」。
このおおもととなる鉄を生み出していた高殿。
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以前ここへ立ち寄った時はまだ工事中だったんですよ。
(2014年8月)
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その後みんなでもう一度見に行ったのが先月。
ほぼ完成してました。
(2014年11月)
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今回は雪が深く大屋根を見る事も出来なかったけれど、
栗の木で作った柿葺き(こけらぶき)です。
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太い梁で支えられた天井。高いです。
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ツアーのプレスの方たちも説明する朝日さんのお話に熱心に耳を傾け。
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外は雪に埋もれてましたがまさに菅谷のたたらの季節なんだろうと思います。
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桂の木はこの地域のシンボル。
樹齢200年。
鉄の神様・金屋子神は桂の木に舞い降りたと言われているのです。
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こちらは奥出雲町たたらと刀剣館にあるふいご。
こういうの、どっかで見たことないですか?
映画「もののけ姫」で女性たちが踏んでた、アレです。
なぜ女性で描かれているのか良くわかんないんですけど、まさにこの地はもののけ姫の舞台とも
なった場所なのです。
もののけ姫の画像はちょっと怖いので貼らない(笑)
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吉田にある「鉄の歴史博物館」の映像もいいですし、
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菅谷たたらで3D映像みるのもいいと思います。
近未来感。
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雲南市と奥出雲町を上手にまわると、日本の歴史を支えた鉄のめくるめく世界が広がっています!
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絲原(いとはら)家は絲原記念館として公開中。
松江藩の本陣としての役も仰せつかっていたという絲原家には
松江城藩主・松平家の家紋入りのお道具一式などがあり必見!
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おうちは素敵すぎる!!
ていうか、お手入れ大変そう。。
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お庭が一望できるお屋敷。
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櫻井家は今回雪の為割愛されてしまったのですが、こちらもまた素敵なところですよー。
水車で挽いたそば粉の出雲そばが食べられます。
こことかでも書いてます
紅葉もキレイです。
お宅の向こう側が山なので、いつも「どこまでが櫻井家なんだろう…。」って思います。
(多分見えてるところ全部 笑)
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そして田部家。
11月には中にもお邪魔させていただきましたが、樹齢数百年の木が山ほどありました(゜_゜)
写真掲載はなしです、ごめんなさい。
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ここはこれだけで歴史的な遺跡です。
そして西洋の鉄にとってかわられた今でも、この地域の良質な砂鉄でしか「日本刀」は作れません。
ぜひ足を運んでほしい日本を支えた歴史的地区です。
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by 55aiai | 2015-02-02 07:00 |  ∟雲南市&奥出雲の観光 | Comments(0)

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