「帝国ホテル 第3回古代歴史文化賞 大賞発表記者会見!」

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11月4日、今年の古代歴史文化賞の受賞作品の発表記者会見に参加するため、日比谷の帝国ホテルへ行ってきました。
日本が誇るクラシカルホテル。125周年を数年前に終え、さらなる歴史を重ねる重厚感あるホテルです。
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ホテル脇にはこのホテルの住所、千代田区内幸町一体はかつて各地域(国)の大名が家族と暮らしていた屋敷が立ち並んでいました、ということが書いてある看板があります。
島根県の石見国亀井家の家もこの近くにあったみたいですよ。
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興奮しますねー、帝国ホテル。
ヴィンテージなのに古さを感じない、むしろ新しい。
そこにあるのは統一感と重厚感。使い捨て感がない、つまりチープなものが一切ない。
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ロビーはあまりにも有名な景色ですが、バンケットロビーは人がいなくて落ち着いています。
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今回はこちらで開催された、
「第3回古代歴史文化賞 記者発表会」へやってきました。
この古代歴史文化賞は、名前のとおり「古代歴史文化」に関して研究執筆された著書を
表彰し、より一般に歴史文化の関心を高め、またその書籍を広めることを目的として
3年前に創設された賞なのです。

言い出しっぺは島根県で。
そこに日本の歴史に深い関わりを持つ地域、三重県、奈良県、和歌山県、宮崎県が
共催することになって、盛り上がってまりましたー。
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「歴史はあんまり詳しくないし、良くわかんないな。」
って思ったそこのアナタ!
気持ちはわかるけどちょっと待ってー。

現代に生きている人で、古代の歴史に関わっていない人なんて誰一人いないのです。
私も全然まだまだ、歴史なんて深すぎちゃってわからないことだらけだけど、
私たちが思ってるよりも現代の私たち以上に思考深くて、体力も能力も高い技術も持っていた
古代人。私たちがすっかり失くしてしまった感覚を研ぎ澄まして様々な営みを送っていた人々。
これこそまさに私たちのルーツ、古代あっての私たち、なのでありますっ。

そんな古代についての著書というのは毎年膨大な数執筆されているのです。
この古代歴史文化賞は、その中からしっかりとした研究が行われ、かつ一般人にも
わかりやすく書かれた著作をセレクトしてくれる、素晴らしいてご(お手伝い)して
くれちゃってるわけです。
ありがたいなー!
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そんな本のチョイスをしてくださった、審査員の皆様。
審査員長は京都大学名誉教授、元京都大学副学長の金田 章裕氏、
㈶大阪府文化財センター、奈良文化財研究所所長 田辺 征夫氏、
フリーアナウンサー 草野 満代氏、
大学共同利用機関法人人間文化研究機構 山梨県立博物館館長 平川 南氏、
瀬戸内南町文化研究所代表、元NHK解説員、毛利 和雄氏。
(東京大学副学長、東京大学附属図書館館長 久留島 典子氏は欠席)
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4月22日に開催された第1回選定員会の段階では81点の推薦本が集まり、厳正なる
選考を行った結果49作品に絞られ、そこから大賞候補5冊が選ばれました。
11月4日に現地・帝国ホテル東京にて大賞を決める選考会が開催されました。
最終審査に残った5冊は以下の通りです。

『アイヌ学入門』 瀬川拓郎
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すでにamazonではベストセラー1位。


『一瓦一説 瓦からみる日本古代史』 森郁夫(代理:甲斐 弓子)
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森 郁夫氏の遺作となった作品


『東国から読み解く古墳時代』 若狭徹
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群馬県榛名山の噴火により残された遺跡から、古墳時代の地域社会を描き出す


『平安人の心で「源氏物語」を読む』 山本淳子
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源氏物語の内容と並行して平安時代の"常識"を解説した、わかりやすいエッセイ集。


『万葉集と日本人』 小川靖彦
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1200年の歴史ある書物「万葉集」をそれぞれの時代の日本人がどのように感じてきたのか、を読み解きながら、万葉集を通した日本の歴史を記した。


そして今年から創設された「特別賞」の発表も。
こちらは、古代歴史研究に長年功績があった人物やその活動に対して与えられる賞とのこと。
今年は上田正昭氏が受賞しました。
なんと1956年に出版してから今年まで、81冊の著書を世に生み出した歴史学者。
神話学という立場からも出雲神話についての著書なども多数。
娘さんが代読という形で表彰式に参加されましたー。
プレゼンターは、現代の島根大首長、島根県知事・溝口善兵衛氏でした\(^o^)/
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そしてここから大変興味深い!大抽選会がっ(笑)
今回選考に残った5作品の著者には共催している5県の特産品の記念品が贈られるのですが、
なんとこれが<くじ引き>で決まる!
どの記念品も素晴らしいものばかりでしたけど、ここからは運と縁なわけですねっ。
これはとても楽しかったですね。
◆島根:出雲国風土記セット めのう玉、安来鋼の包丁、隠岐の岩ガキ、十六島海苔、シジミ、のどぐろ、あご野焼き、日本酒、山くじら(イノシシ)、雲南市の杵つき餅
◆奈良:螺鈿を使った奈良漆器の文庫
◆三重:志摩観光ホテルベイスイート1泊2日、伊勢海老や黒あわびの最高級ディナー付き、松阪牛すき焼き肉、伊勢型紙の芸術作品
◆和歌山:海南市の伝統工芸品であり名匠に選定された橋爪靖雄氏作の漆工芸品
◆宮崎:宮崎牛、マンゴー太陽のたまご、完熟きんかんたまたま、日向夏など宮崎グルメてんこ盛り

どれもすごい・・・すごかったです。
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楽しい贈呈式を終え、空気がちょっと和んだところでいよいよ大賞の発表です!!!

第3回古代歴史文化賞大賞は、、、

アイヌ学入門 (講談社現代新書)』 瀬川 拓郎さんでしたーーーー!
アイヌ民俗をこれまで書かれた書籍などからの研究だけでなく、方言や現代における生の証言、また広い地域からの研究、旧石器時代から今に至る時間的幅がある視点などから複合的に解き明かした内容であることが評価されました。
地図なども多様されており、北海道やアイヌに詳しくない人にもわかりやすい本となっている優れた作品であるという理由でした。
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瀬川さんおめでとうございます。
受賞の喜びのご挨拶、ガチガチに緊張されておりました!
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副賞は、賞金100万円と、「美保岐玉」。

美保岐玉(みほぎだま)…!!??
写真を見たら、なんとなく、博物館とかでみたことがあるコレ。
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舞台上でキラッキラしてました。
古代のダイヤモンド、、、、いいえ物質的な価値ではなく、権力とパワーを秘めたものであり、
まさに出雲の宝です。
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そして優秀作品賞4点の選考理由についても発表がありました。

一瓦一説 瓦からみる日本古代史』 森郁夫

小さな瓦というものの中から歴史を読み解くという独特の視点と丁寧さがある。
また図版が多く短い文章でわかりやすく読みやすい本になっている。
今年は森氏の三回忌ということでしたが、病床においてもこの本の出版過程をチェック
されていたという話があり、人生最後の最後まで考古学に情熱を注いだ研究成果がここに
まとめられました。

東国から読み解く古墳時代 (歴史文化ライブラリー)』 若狭徹

いわゆる日本の「ポンペイ」。
榛名山が噴火し、当時の暮らしが埋没したままラップされた群馬県西部の遺跡から、古墳時代のムラの在り方、社会の在り方をわかりやすくまとめた本。
古代の歴史研究というと西日本の地域に偏るが、東国=群馬県の地方フィールドワーカーとして火山灰の中に埋もれた当時の様子から、過去の生活様式を総合的に描き出している。
これ、先日行った島根県立古代出雲歴史博物館の企画展「百八十神坐す出雲」の中にも展示があった気がする…!

平安人の心で「源氏物語」を読む (朝日選書)』 山本淳子

文学的背景に留まらず登場人物の歴史的拝見に突っ込んでいて、源氏物語を読みたくなるようなわかりやすさがある。
連載エッセイを1冊にまとめた著書。
私たち世代は、マンガとかで結構源氏物語読んでいるんじゃないかと思うのですが、この作品を読むとさらに興味を呼ぶことになりそうですよ。

万葉集と日本人読み継がれる千二百年の歴史 (角川選書)』小川靖彦

歴史の中で長い時間読まれ続けてきた万葉集が、その時々によってどのように読まれてきていたのかを問い続けることで、時代のバックボーンが見えてくる。
古代の書物万葉集を今我々が読むということは、読み継がれてきた歴史でもある。


このように、古代歴史文化といえども、分野や地域、時代などが多様化したラインナップになっていました。
ひとつ言えることは、皆さんひとつのことにかける情熱の熱量がハンパなく・・・。
だからこそダイナミックで繊細で、学術的ででもわかりやすく、面白い本になるのだと思いました。
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うちにもやってきたこの本。
ざっくりは目を通したのですが、これからじっくり読んでみたいと思います。
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受賞者の皆様、おめでとうございます!
選考委員の皆様、県関係の皆様、おつかれさまでしたー!
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by 55aiai | 2015-11-06 07:00 |  ∟千代田区 | Comments(0)

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