「赤坂 ANAインターコンチネンタルホテル東京 雲海の日本ワインとジビエのマリアージュ」
2011年 12月 12日

ANAインターコンチネンタルホテル東京の雲海が企画したイベントに行ってまいりました。
ローペイベントで一度お邪魔した、格式ある日本料理のレストランです。
ANAインターコン、華やかです!
クリスマスってこともあるけど。。。クリスマスじゃなくてもいつもここってキラキラしてるのです。
にぎわいのあるホテルだしどこか垢ぬけ感もあって、足を一歩踏み入れるだけで心躍る空間。
最近お部屋はどんな感じになってるのかな、気になる~

この日はクリスマス期間の特別コースをいただきに。
日本料理雲海が手掛けるこの冬の季節の会席料理。
それが「ジビエ」。
さらにそこに日本ワインを合わせるという、面白い企画です。
最初に「日本ワインとジビエ」って聞いた時、疑問符が次々出てきてノンストップ状態。
想像するジビエはやはり風味も味も食感も強いものだから、それを取り巻くものも力強く合わせていくのが基本。
それを上品で清楚に組み立てる<和食>で?
しかもどちらかというとあっさりと優しくまろやかな風味が多い<日本ワイン>と?
さらに輪をかけて、私はそんなにジビエは得意ではありません!ときたもんだから。。。。
パニック!(笑)
でも雲海さんて、夏にお邪魔した時のお料理がとても素晴らしく、
特にローランペリエのロゼと合わせた「加茂茄子とフォアグラ」。
食感やそれぞれの素材のまとまり感と、和食の中から大きくはみ出すことなく挑戦しているあの一皿がとても良かったのが記憶に新しい。
きっとまたあの感覚のもと新しいプレゼンテーションをしてくれるだろう、との確信はあったのです。

その期待を見事に上回ってくれたイベントとなりました~。
今回お料理とともに主役になるのは山梨県にあるサントリー登美の丘ワイナリーのワイン。
ワインたち、優美にディスプレイ。

まずはウェルカムのローペ ブリュットL・Pから。

喉を通り過ぎる冷たさ、シュワワワーっと勢い良く早いスピードで立ち上る泡。
冷たい刺激を感じる一口目から次第にその泡のスピードがゆっくりになっていき、ふくよかな香りへと変化してく。この過程までもがエレガントなオーラ。

ひとつずつグラスに注がれるワイン。
富士山の北側にある登美の丘ワイナリー。150ヘクタール(甲子園で20個分)の広大な敷地の中でブドウの育成からワイン製造までを行っています。
登美の丘甲州2009。
日本固有品種である「甲州種」を使い、さらに遅摘み、樽醗酵などを加え凝縮した白に仕上げたワイン。
スッキリとした辛口の酸の中にまろやかな樽ならではの香りがあります。

またすぐに注がれたのはシャルドネ。
長野県の高山村はワイン専用ぶどうを育てている産地。標高が700~900m、登美の丘よりもさらに高いところにあり降水量が少なく収穫期の昼夜の寒暖の差が激しいことで、シャルドネぶどうの成育に非常に適した地なのです。
果実味が強いシャルドネでした。

この2種類のワインと合わせていくのは最初のお料理、鮟肝を使った一品。
河豚の煮こごり、鮟肝、もみじおろしとセルフィーユ。

動物的なコクでふくよかな味わいの河豚煮こごり。ここにもったりとした鮟肝が加わると、甲州2009の豊かな樽の熟成からくる香りの膨らみと好相性。
またここにセルフィーユの青々しさともみじおろしの辛味が加わると、スッキリとした辛口シャルドネと合うのです。
日本ワインの繊細さと和食のきめ細やかさがピッタリと合致した瞬間でした。

次の料理は治部煮(じぶに)。
金沢で食べられる郷土料理。

後引くような強い出汁、その中にもほんのり甘さあり。
あんで一体となる具材たち。

家庭によって入れるものも味も少しずつ違うという金沢治部煮ですが、鴨肉とすだれ麩は外せないところ。
鴨に負けないしっかりとした出汁味の椀に負けないワイン。
個性と個性をぶつけていくような組み合わせの中にもたがが外れ過ぎないまとまりのある上品さ。
それが塩尻マスカットベーリーA。

まさに「日本の個性」の塊のようなベーリーA。
舌に張り付くような強い出汁、軽いタンニン味とフレッシュな飲み口のマスカットベーリーAの後、シャルドネですっきりさせるのも良かったです。
ワインをワインで洗い流す経験は初めてですが。。(笑)こんな飲み方を出来るのも、こうして雲海で機会をいただけたからというもの^^

お造り。
鰤の焼霜、甘エビ、まぐろ。

鰤は天然塩で、かつシャルドネで。塩のミネラルとシャルドネが舌の上で化学反応します。すごい。
甘エビとまぐろは土佐醤油で。
マスカットベーリーAを勧められて合わせてみたら、特に甘エビの濃い味噌でぐんぐん広がりが増していきました。

八寸。
一つずつの小さなお料理にどれを合わせていこうかと、贅沢に悩みまくり。

鶉(うずら)桑焼、すり身と軟骨を合わせた繊細な味わい。反対に鶉の香りはワイルドにも感じられ、マスカットベーリーAの個性的でクセのある風味とぴったり。
牡蠣松風、牡蠣と言えば白。柚子味噌の甘さがあるのにその柑橘香がさらにプラスに。やはり裏切られないシャルドネで。

河豚竜田揚げ、カボスをぎゅっと絞ることでフレッシュな香りが甲州のエレガントさとマッチ。
可愛い柿の器の中には柿なます。ストレートな酸味がくるこちらには白でしょう。

ひとつだけ、どうしてもどれとも合わせられなかったのが「からすみ餅巻き」。
お餅からどーしてもお米のお酒・日本酒が頭に浮かぶ。。。(笑)
ぶどう風味の重たさがない若いワイン、もしくはもっとスッキリした白が加われば良かったかもしれません。
個人的には<恵方巻き食べ>してみたいほどからすみ好き。
自家製からすみ、ありがたーくいただきました♪

この時間には桔梗が原のメルローも注がれておりました。
信州の標高700mにもなる桔梗が原。ワインぶどうの産地です。
また登美の最高峰ランクの登美 赤2007。非常に滑らかで一言、飲みやすい。
じっくりと味わいが広がりそれが長く続く、私が一番気に行ったワインです。
ここまでで5種類が揃いました。

炊き合わせ。
この器の中のメインは「シナモン麩」。
シナモンの軽い刺激のある香りの中には真鴨のそぼろ。
控えめな印象のこのシナモン麩が、登美 赤2007の良さを抜群に引き出しています。

本日のメイン、焼物は丹波の猪源平焼きと蝦夷鹿根菜巻き。
源平焼き、塩とたれで焼いてお皿の両側に。まさに源平。
ここで本日のワインは最後の1種、CENTURY2008が注がれ6種類が揃いました。

薄切りの猪はコクのある豚肉のよう。ざらりとした食感が当たりますがきめは細かくあっさり。
久しぶりに食べた猪、とても美味しかった。
部位はどこだったんだろう。

蝦夷鹿は弾力ある赤身の美味しさが少々隠れ気味。
もう少しレアが好き。もったいないもの。

CENTURY2008は、その力強いフルボディな深みと複雑な味わいながらもまろやかでまとまりのある一杯。
すでに完売したという(!)日本のワインの歴史の中に刻まれた代表格のワインだと感じました。

当然お値段もお高いのではありますが、登美の丘ワイナリーにとっては、ブドウ作り100年の記念すべきタイミングでボルドーのドメーヌ バロン ド ロートシルト(ロスチャイルド家ですね)との業務提携25周年もかけて生み出したアッサンブラージュ(ブレンデッド)ワイン。
なんか難しい話ですが、歴史と誇りを詰め込んだ、登美にとってもとても大切なワインなんですね。
すでに完売してないはずなのにここで出てきちゃうという、本当に貴重なワインをいただきました。
嬉しや~

コースはずんずん進み、ねぎまのお鍋。
まぐろのかまの部分を薄く薄くスライス。
まるで和牛霜降りのような美しさ。

上品なかつおだしに醤油、みりんなど基本的なだし汁に、ねぎを入れてしばらくコトコト。
まぐろを投入すると、パーァッと脂が広がります。

火が通ったかどうかですぐにねぎを巻いて引き上げて。
登美 赤2007が良かったです。

最後は鴨なんばんそば。
冷やしそばに温かいつけ汁。
鴨の強い風味が出た出汁でした。
まずはそばのみで、シャルドネと。
冷たく締まったそばの香りとのど越し。
一瞬ぶどう味とぶつかったあと、スッキリ切れながら消えていく余韻と共にそばの香りも落ち着いていく…。ここが至福の時。

「そば」と「ワイン」、香りを楽しむ同士の取り合わせ。
相反するように思えても自分の中に豊かさの瞬間を見出せた時、それが楽しい、嬉しい、優越感。
ワインってこういう気持ちにさせてくれるものだったのですね。
野性味強い出汁にはマスカットベーリーAが合いました。
太打ちのおそばと鼻腔に訴える鴨、個性の塊マスカットベーリーAのマッチング。

土を作りぶどうを育成しワインを造って。
人間に個性があるようにワインひとつひとつにも個性がある。
どのワインもひとつひとつが大切な作品だ。
登美の丘ワイナリー高田所長のお言葉。
研究の成果と努力の中から生まれた作品のひとつとして、最後の最後のサプライズ。
国産ワインの貴腐、2002年。

登美の丘ワイナリーで成育されたリースリング100%。
日本で初めて国産貴腐ワインを作ったのも登美の丘、1975年のこと。
凝縮感ある中にも気品が感じられる崇高な味。
どこか日本の奥ゆかしさがあるような、雅な味なのです。
琥珀な深い色も美しい、デザートとともに、ありがたくいただきました。

貴重なワインを飲めるだけでなく、料理が進むにつれだんだん重たくしていくというセオリー通りの飲み方ではなく、食材、味付け、取り合わせによってワインをあれこれ選べるという贅沢な時間を過ごせるセミナーでした。
ジビエもあまり得意でない私でも十分楽しめる風味になっていて、素材の良さを実感。
さらにそこには和食の「出汁」という大きな存在が背景に存在し、その味わいの深さと日本の食の力を感じる私にとっての価値ある一食でした。

さて、
このお料理がいただけるコースが雲海さんで登場するのはクリスマス。
12月16日(金)~25日(日)の期間(短いネ~。。)、この素晴らしいお料理ジビエ会席料理が提供されます。
日本料理 雲海「ジビエ特別会席 初雪」
このコースを注文すると、登美の丘ワイナリーのワインボトルが半額!になるそうです。
河豚煮こごりやふぐ竜田揚げと相性良かった「登美の丘甲州2009」10,500円→5,250円
八寸で大活躍、最後のおそばにもぴったりの「高山村シャルドネ2009」10,500円→5,250円
これぞ日本の個性と呼べる「塩尻マスカットベーリーA 2009」10,500円→5,250円
フルボディ骨格しっかりのメルロ「桔梗が原メルロ2007」21,000円→14,700円
私のお気に入り、はチョット高いネ。。「登美 赤2007」29,400円→21,000円
などなど、他にもたくさんのワインがそろうということです。
ホテルのお料理と共に、ワイン売値よりも安くいただけるって相当…あれですよ。
こうして考えると、前回も紹介したローランペリエが含まれたコースも超~お得だったんだなぁ、と今更ながらに感じてしまう。
とても頑張っているお店なのです、雲海。
驚くほどに新しいことを考え出しているのです。
ANAインターコンの中でも注目されているお店でかつお庭がとってもきれいで。

このイベント、30人弱の方が参加していたのですがフロア使いでもほんとに人が気にならない。
写真でも私的空間が確保されている感じが出ているのではないかと思うのですが、高いパテーションがあってとても落ち着きます。
前回の記事の写真は奥のお座敷個室です。こちらは言わずもがな素晴らしい、まるでどこかの旅館にきたみたいな落ち着き。
それにしても美味しかったなー
登美 赤2007と貴腐2002はもう一度飲めるようにサンタさんにお願いしようかな~。。

数年前まではあったという雲海の朝食。
私の周囲では伝説のようになってるくらい美味しかったそうなのですが、残念ながら現在は行われていないということ。
料理の全体的な流れからくる満足感、正統派の中から生まれるチャレンジ。
心地よい最上級のサービスながらも柔軟性も感じられ。
リピーターもファンも多いことでしょう。
私もまた、ここへ来るしかない!と思うんですねー
登美の丘ワイナリーにも行ってみなくてはー、と思ってます。

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治部煮の甘さとマスカットベリーを合わせるのはなるほどなぁと思いました。
ただ、生の甘エビとの相性は想像がつきません!笑
そばとシャルドネはなんだかパリの和食店みたいで格好良かったですね。
あぁ、イベント行きたかったです!!笑
書きながらも思うのですが、想像しにくいほど面白い組み合わせ、楽しいマリアージュでしたよ!
お料理は16日からのクリスマスでいただけるのですが、こういう合わせ方が出来ないのがとても残念ですよね。ぜひ全部ボトルで頼んでみてください…なんて無責任なことも言えませんし(笑)
こういうイベントならどんどんやってほしいですね!
食事が何倍も楽しくなり、充足感いっぱいで家路につきました^^