「ヴィルゴビール深川工場 クラフトビールブルワリー見学」


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クラフトビールって飲んだことありますか?

様々なクラフトビールが販売されるようになり、
最近では普通にスーパーやコンビニの店頭でも並ぶような時代になってきましたよね。

1994年の酒税法改正以来、最低製造量の大幅な引き下げにより、
ビール製造免許が比較的容易に取得することができるようになったことがクラフトビールの幕開けでした。
とは言っても当時はまだクラフトビールという名前は聞こえず、”地ビール”という言い方で
地方創生に一役買っていた記憶があります。

1994年の法改正から30年近くたった今では、製造免許者は激増。
クラフトビールブームはここ10年くらいじゃないかという肌感がありますが、
昨年クラフトビール取材をした時に、まだまだ底上げできる分野だなという感じがしましたし、
クラフトビールは特別なものではなく、日常的に飲むものになっていくだろうと思いました。
ただまだ一度も飲んだことがないよという人も多いと思います。

お声がけいただいてお邪魔したのは東京の下町に工場を構える「ヴィルゴビール」。
住吉駅から徒歩10分ほどの立地で、静かな工場地帯にあるビール醸造場です。
初めて訪問した住吉駅。静かな町。
せっかくだから、ビール製造をちゃんと勉強しようじゃないですか!
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ヴィルゴビールは2000年創業。
ビール製造を始めて20年目を迎えた会社です。
今年2021年4月と9月に錦糸町に飲食店を構え、ビールブランド「北斎麦酒」を展開しています。
葛飾北斎の「富嶽三十六景」をパッケージにし、特に、最も代表的な「神奈川沖浪裏」を北斎白麦酒の瓶に採用。
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さっそくビール工場見学です。
このビール工場では200klの製造能力があり、クラフトビールメーカーではかなりの規模の生産が可能。
200klというと、330ml瓶換算にして60万本作れてしまう計算です。

まずは原料から。
ビールは「麦とホップから造られる」と言うけれど、厳密には麦ではなく麦芽。
(基本的には)大麦を発芽させたものを麦芽といいます。
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大麦の麦芽、食べてみましたけど香ばしくてなかなかおいしい。
クミンとかで味付けしたら、きっとおつまみになる。
金色のビールはこの麦芽で作ります。
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黒ビールやスタウト用は苦め。
コーヒー豆のような、チョコレートのような色。
食べてみると焦げたような味じゃなくて、まろやかな味、麦茶みたいな味がする。

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まずは麦芽を砕きます。
そのままでは成分が出てこない、かといって小麦粉のように粉砕してしまうわけでもない。
ほどよく破砕する。
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小さい工場だと粉砕した麦芽を手作業で運ぶそうですが、
こちらは次のタンクへ管で運べるようになっていました。
麦芽にお湯を加え、糖化させていきます。
その際、麦は酵素の働きで糖化します。
麦の糖分を糖化させるためにヴィルゴビールは67℃になるように温水を調整し、
1時間かけゆっくりかき混ぜながら作っていきます。
67℃が最も効率良く糖化させる温度と考え、
釜をあらかじめ温めておいたり冷めてしまうことを計算したりして、加えていきます。

麦汁はくみ上げ、また濾過させ、くみ上げるを繰り返し、クリアな混ざりけのない麦汁を取り出し次の工程へ。

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濾過した麦汁は煮沸の工程へ。
100℃以上で煮沸し、殺菌、不純物を取り除く作業を行います。
糖化させた麦汁は微生物が多いので、ここでしっかりと殺菌します。
約1時間ほど煮沸する中で、ホップを投入します。
始める前にホップを入れると苦味が、煮沸後もしくは終わる直前に入れると香りが出やすくなります。
想像できるかもしれないのですが、
ホップは煮込めば煮込むほど苦味が出るのですがその分香りは飛んでしまうので、
香りをつけたい場合は最後にたっぷりとホップを入れる、そんな工程を行います。
ホップにも種類がありヴィルゴビールでは10種類ほどを使用、ブレンドする場合もあります。

これらの作業が終わると、冷却。
一気に20℃くらいまで冷まします。
なんだか、温度との戦いですね。
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そしていよいよここからが発酵。
発酵タンクに貯蔵して、ここに酵母を加えます。
発酵によりに、麦汁からはアルコールと二酸化炭素が生成されます。
この日は発酵作業1日目のタンクがあり、二酸化炭素がぼこぼこと吹き出していました。
二酸化炭素が元気よく吹き出しているということは、酵母が元気だという証。

1日くらいだとまだまだアルコールは弱く、これから徐々に発酵が進みアルコール分が増えていきます。
種類によって発酵日数は変わります。3~4日のものもあれば、1週間程度のものも。
ここでちょっとだけ味見をさせてもらいました。
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酵母は麦汁の糖分を食べることで発酵を進めます。
この時期のビールはまだまだ糖分が残っている段階で、甘い穀物のジュースという感じです。
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発酵が終わったビールは貯蔵されます。
そして瓶詰め、出荷されていきます。

出荷する前に瓶詰めしたビールを火入れすることもヴィルゴビールの特徴のひとつだそう。
この工程がある故に、賞味期限が短いクラフトビールの中でも6か月~1年という比較的長い賞味期限を保てます。
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ひと通りお伺いしながら見学させてもらいましたが、
ビール造りって面白いですね。
取材させていただいたいろいろなマイクロブルワリーの方たちも、
みんなビールが好きで、自分で作ってみたいという気持ちで始めた人も多く、
ビールって人を惹きつける魅力があるんだなと感じます。

最後に工場の片隅にこんなものが。

おおぅ…! これは…!!
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蒸留ポット!!!
ビールだけでなく、色んなお酒が作れそう。
ウイスキー…、ジン…。
東京下町から様々な種類の酒類(笑)、が作れる日がいつか来るのでしょうか。
楽しみだなぁ。
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ヴィルゴビール直営店のレストランも取材させていただいたので、
そちらはまた別の記事でレポートさせていただきますね。
ヴィルゴビールのサイトはこちら。



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by 55aiai | 2021-10-11 07:00 |   ●台東区・墨田区・文京区 | Comments(0)

ライター・西村愛のブログ


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